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会議録(平成24年12月20日)

平成24年12月20日「第3回委員会」会議録のPDF版はこちらPDFファイル(411KB)

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資料_指摘等事項に対する対応状況一覧 (手術室業務)PDFファイル(405KB)
資料_手術室業務・検証報告書1PDFファイル(233KB)
資料_手術室業務・検証報告書2PDFファイル(78KB)
資料_手術室業務・検証報告書3PDFファイル(243KB)


医療安全体制等検証委員会 第3回委員会 会議録

 

日 時:平成24年12月20日(木曜日)
17時00分~
会 場:第1会議室

 

出席者
委 員、3名
調査チーム、5名
職 員、24名
事務局、4名
 
〔第3回委員会〕

1 開会及び資料確認

2 議事(議長=委員長)

(1) 医療安全体制の検証
ア 薬剤関係業務

調査チームから、調査報告書について説明。

〔調査チーム〕
事前調査として約100項目程度のチェックシートを配布し、10月4日に訪問調査を実施した。
方法としては、チェックシートによる事前調査と訪問調査によるヒアリングと視察を行った。
調査結果の総評としては、薬剤関連業務に関する安全体制については、概ね良好であると評価する。ただし、一つ指摘するならば、手術室の薬品倉庫の空調が、室温の範囲を超えていたということがあったので、早期の改善が必要と評する。
全部で10項目程度の評価をしたが、まず、医薬品の安全使用のための業務手順書については、医薬品安全使用のための業務手順書の内容については概ね妥当であると評価するが、従業者の業務が「医薬品業務手順書」に基づき行われているかの評価を定期的に確認することが求められる。全職員に対して業務点検が行われていない状況であったので、改善をしたほうが良いと評価する。
インシデント・ヒヤリハットへの対応は、薬剤部と安全管理室の情報共有が行われており、内容も薬剤師全員に対して事例の周知が図られ適切な体制であると評価する。
医薬品オーダリングについては、医薬品の過剰投与を防止する機能として薬剤最大投与マスタという機能は持っているが、マスタメンテナンスを行う人員が確保されていないことから、利用できていない状況であった。経費がかかるが市販のデータの購入等の検討が必要であると思う。
処方せん、注射指示せんについては、処方せん、注射指示せんに、体重・アレルギー薬等の情報を表示することにより、薬剤師の処方鑑査もより正確で医療安全に寄与できると考えられる。予算がかかるが、システムの改善が望ましいと評価する。また、注射薬ラベル、病棟の注射指示簿には、可能な限り点滴の開始時刻、終了時刻、投与速度等の記載が望まれる。
続いて薬剤部投薬窓口は、複数の診療科から薬剤が処方された場合の患者に対する薬の渡し漏れについて、窓口業務担当者の記憶を頼りに行っている状況があったので、他の薬剤師が対応した場合の患者に対する薬の渡し漏れを防ぐという意味で、投薬手順の整備が必要と評価する。
夜間の薬の払出状況については、病棟常備薬を使用し、薬剤師の鑑査を得ていない状況であった。救急輪番日以外の夜勤・当直、日直などの体制については、対応可能な人員の確保を含めて、今後の検討が必要であると評価する。
病棟常備薬の払出状況は、病棟常備注射薬から医薬品を使用した場合の補充方法について、オーダで入力がされているにもかかわらず、実在庫数のチェックのみで在庫数を補充している状態であり、可能であればオーダデータと常備薬請求数の照合を行う等、今後の検討が必要と評価する。
抗がん剤調製については、現在、循環型のクラスIIAという安全キャビネットを設置して調製を行っている状態であるが、抗がん剤無菌調製ガイドライン上では、外排気型(クラスIIB)の使用が推奨されている。これも経費がかかってしまうこととなるが、調製に従事するスタッフに対する抗がん剤被爆を防ぐために外排気型の安全キャビネットの設置が望まれるので、検討が必要と考える。
院内製剤については、院内製剤を使用した患者のフォローアップが全くなされていない状況にある。特に特殊製剤については、使用結果報告等を行い、製剤の安全性や有効性データを蓄積していくことが必要と評価する。
医薬品の保管については、最初に述べたとおり病院の中の薬剤部の医薬品の保管状況、温度や湿度の管理・チェックは適切に行われていたが、唯一手術室だけは室温がほとんど32℃と保管条件を逸脱している状況であったので、改善が必要と評価する。

〔委員〕
総評としては、概ね良好であるということであるが、手術室の空調が高すぎるという指摘があった。これは一時的なものかもしれないが、調査チームが調査したときには室温が高かったということである。
よく問題になるのは病棟常備薬の管理に関してであるが、病棟常備薬とは具体的にどんな薬があるのか。

〔調査チーム〕
抗生剤など薬全般である。

〔委員〕
抗がん剤などは置いてあるか。

〔調査チーム〕
抗がん剤は置いてない。

〔委員〕
最低限の常備は絶対に必要であると思う。緊急の患者がいるので管理に関してのチェックをしっかりと行って欲しい。
抗がん剤専門の調剤室で行うが、そのキャビネットの種類が指摘されている。院内製剤は、倫理委員会の確認を経て作っているが、具体的にどのような院内製剤を作っているか。

〔調査チーム〕
種類は特にこれというのはないが、薬剤の体制として特殊製剤を作って、そのまま患者に交付する。市販されていない薬なので、安全性や有効性を重視しなければならない。

〔委員〕
6番の「窓口業務担当者が記憶を頼りに行っている。」とあるが、ルールとしてはどうなっているか。

〔調査チーム〕
外来患者に薬を交付する手順が決まっていない状態にあり、担当の薬剤師が外来の患者の薬を頭の中で覚えていて行っている。例えば内科と外科から処方が出ていれば、その患者は2科から出ていると記憶して交付するが、担当薬剤師が昼休みなどで不在の際に新しい診療科から新しい処方が出た場合に、先の2科の処方を渡し忘れてしまうことになりかねないことから、何らかの手順の改善が必要ではないかということである。

〔委員〕
手順とは具体的にどのようなものがあり得るか。

〔調査チーム〕
例えば、現在は電子カルテ化されており、患者へ交付する薬の情報は薬剤部に届いていることから、患者のID番号を入れることによって、その日に何の薬が出ているのかを、時間を表示し確認することができるなどの対応が可能である。

〔委員〕
院内製剤を使用した患者のフォローアップが全くされていないとのことであるが、院内製剤は、一般に市販されているような製薬会社が作った薬ではなく、病院として患者に合わせて調合した薬を作るとのことであり、その安全性をチェックする体制が必要であると思う。

〔委員〕
従来、慣習的にも文献的にも通常に使っているものがあるが、製薬会社が臨床試験を敬遠する傾向にあるので各病院で作る薬がたくさんある。医科大学などでは特殊な薬が数多くあるが、規制も厳しくし使用する前に倫理委員会に申請し、文献的な内容を考察して認可を得た後に作るというのが、原則的な取扱いとなっている。何十年も同じ薬を使っている患者もいることなので、安全性に問題はない。ただし、フォローアップの体制は必要と思う。

〔調査チーム〕
特殊な製剤は多数あり、そのレシピもたくさんあるが、その中でもより良いものを改善していくという観点と情報収集が必要となってくる。

〔委員〕
一昨年ぐらいに規制が改正され臨床開発は製薬メーカーが実施するようになったことから、特殊なものも開発を始めているところがある。

〔委員〕
院内製剤の割合は多いのか。

〔委員〕
割合は少ない。なぜかというと、マーケットが大きければ製薬会社が開発を行うわけであるが、経費をかけてもメリットがないと判断されれば作らないこととなる。小児科などでは、大人は一般的に使われている薬であっても子どもには使わないものなどがあり、そうした薬はメーカーで作らない傾向にある。これはやむを得ないところである。

〔委員〕
経験的に問題なく行われている薬が多いとのいうことだが、裁判などで問われるところとして、薬にはどういう効用があって、副作用はどういったことがあり、それはごく稀なのか、症状が出た場合はどのような状況であるとかの注意書きなどが付いていることが重要であるが、院内製剤では、そのような注意書きはなじまないものとなるか。

〔委員〕
公的な文書としてはない。

〔委員〕
6番と7番、8番の問題を見ると、横の連携の不備が見られる。抽象化してはいけないが、医療事故防止マニュアル4版の薬剤部のところでは、それぞれの業務の管理について記載がされており、伝達や相互の確認など連携に関することが提示されているが、もう少し確実に実践していくことが必要であり、記憶に頼る仕組みを変えていくとか、次の担当者への連携をルール化する必要がある。
また、前回の放射線関係業務の際にもあったが、薬剤師の役割が非常に高まってきていることから、薬剤師と医師、看護師その他の部門との連携を統一し、ルール化していく必要があると思う。

〔委員〕
薬剤部だけの問題ではなく、病院運営全体に係わる総論的な問題としての意見である。
調査チームの指摘事項に対して、病院側の見解はどうか。

〔事務局〕
総評のオペ室の室温については、温度計が壊れていたことから、新しいものに換えた。夏場の温度等が高い場合には空調の温度を低くすることによって室温が下がり、問題のない室温となっている。
温度・湿度は毎日の朝夕2回、手術室の職員が測定している。加えて担当薬剤師がオペ室に入室する際に確認することとした。
2つ目の医薬品の安全使用のための業務手順書については、「医薬品の安全使用のための手順書チェックリスト」を作成したところであり、今後、点検方法や頻度等について各部門と検討する。
3番目の医薬品オーダリングについては、電子カルテシステム上に薬剤投与マスタがあるが、指摘のとおり人員確保を含めた問題などにより現状は整備が困難な状況にある。人員確保は、来年4月に3名を採用する予定となっている。今後、カスタマイズ等の費用の問題もあるが、市販データを最大限に使用していくこととしている。
4番の処方せん、注射指示せんについては、医療機器システムから出力されており、処方オーダや注射オーダを鑑査するうえで必要な医薬品情報、患者基本情報、体重、アレルギー薬等は、システムをカスタマイズすることで可能となる。しかし、これも人員確保やカスタマイズに関する費用等が問題となっていることから、今後、検討する。
注射薬ラベル、病棟の注射指示簿には、可能な限り点滴開始時刻、終了時刻、投与速度等の記載が望まれるとする5番目の指摘については、現状、医師が入力することによって対応が可能なことから、医療安全面を踏まえ診療部に対して入力依頼をしていく。
6番目の薬剤部投薬窓口については、電子カルテ上の内容を参照し、確認後に投薬する方法に変更した。また、窓口業務マニュアルについても改訂した。
7番の夜間の薬の払出状況については、基本的には輪番日以外はオンコール体制であたっている。それ以外については病棟では必要時オーダを薬剤師も含めて検討し登録してあるので、これに基づき、看護師が取り揃え、実施している。救急外来には処方オーダに基づき当直医師と当直看護師が確認の上、投与している。処方内容については翌朝薬剤師が確認し、使用薬剤の補充を行っている。また、輪番日以外の夜勤・当直、日直などの体制については、4月から3名が確保され、最終目標は20名まで増員することとしていることから、今後検討していきたいと考えている。
病棟常備薬の払出状況については、締め切り時間以降のオーダ内容について、医療機器のシステムを用いて病棟毎に集計し出力することが可能である。病棟配置薬の請求との照合を図って、補充方法について検討していくが、カスタマイズ等の費用が必要となることから、今後検討していきたいと考えている。
9番目の抗がん剤調製については、現在、当院ではクラスⅡA の安全キャビネットを使用している。30%の外排気、70%の循環型であるが、これを外排気型にするには、キャビネット自体をクラスⅡBのものに替える必要があり、排気工事も必要となる。現在のものは耐用年数が近づいていることから、平成26年度予算に要求を行い、クラスⅡB型の購入を考えていく。
10番目の院内製剤については、「特殊製剤結果報告書」を作成し、特殊製剤を使用した患者の副作用・有効性を病棟薬剤師は医師とともに検討し、使用終了時に医師又は薬剤師は「特殊製剤使用結果報告書」に内容を記載して薬剤部長へ提出することとした。また、製剤処方箋は別綴りとして保管し、随時処方内容について把握できるようにする。
11番目の医薬品の保管については総論と同様となっている。

〔委員〕
6番の窓口業務マニュアルは、資料の中にあるか。

〔事務局〕
「調剤業務の流れについて」の中のP15に窓口業務のことが記載されている。

〔委員〕
このマニュアルは改正後のものか。

〔事務局〕
改正前のものであり、訂正はされていない。

〔委員〕
後日、改正されたマニュアルを配布して欲しい。

〔委員〕
総論の対応状況の中で担当薬剤師も入室時に確認を行っていくとあるが、現在、担当の薬剤師は週に何日くらい手術室に入っているか。

〔事務局〕
1ヶ月に1回程度の入室となっている。

〔委員〕
1ヶ月に1回ということでは、夏場などの温度設定は難しいので、できれば週に1回程度は入室した方が良いと思う。
手術室内の麻薬管理はどのように行っているか。

〔事務局〕
オペ室には麻薬を常備しておらず、毎日払出している。

〔委員〕
廃棄した薬、麻酔薬なども毎日払出しているか。

〔事務局〕
毎日払出している。

〔委員〕
最近は医薬品を麻酔の医師ごとに一つのカートに乗せて運ぶようになっている。手術室ごとに必要な器材が決まっているので、セットにして運ぶシステムになっている。

〔事務局〕
当院では、手術室の部屋ごとに薬剤がセットされており、それぞれのカートで使用したものは、メインのカートから補充し、メインカートを薬剤部に運んで補充する形となっている。

〔委員〕
メインカートから各カートに補充するシステムであれば、薬剤師が毎回手術室に入らなくても対応できる。
10番の院内製剤に係わるフォローアップであるが、例えば院内の特殊製剤を作成する場合には特定の薬剤師が担当して全てをまとめて作っているのか、あるいは依頼された際にそれぞれメニューに従って作っているのか。

〔事務局〕
製剤に担当薬剤師を配置しており、作成している。

〔委員〕
特殊製剤は安定性などに関しての公式な文書がないので、出来れば同意書をとったほうが良いと思う。院内の倫理委員会を通して同意書をとるシステムとした方が、いざというときに安全なのではないか。

〔事務局〕
特殊製剤の作成に際しては院長決定をとっており、同意書も毎回とっている。

〔委員〕
同意書は、その薬を使う患者からとるのか。

〔事務局〕
同意書は、患者からもらう。

〔委員〕
副作用などの説明は行うのか。

〔委員〕
病院によって対応は多少異なるが、この薬は法的な規定によって作成したものではないとの文書をつけている。

〔委員〕
リスクがあると思うが、どうか。

〔事務局〕
当院では病院薬剤師会で認められている薬のみ製剤しており、倫理委員会にかけ認可を得るほどの製剤はない。

〔委員〕
従来の薬剤を希釈する程度のものか。

〔事務局〕
はい。病院薬剤師会の中でも一般的と考えられている製剤である。

〔委員〕
3番のオーダリングシステムは、電子カルテシステム上に薬剤投与マスタがあるが、人員等に問題がある中で3名の薬剤師を確保し、今後マスタを作るということであり、また、市販データを用いたデータ作成とシステムカスタマイズを検討していくとのことであるが、具体的にいつ頃を想定しているか。

〔事務局〕
費用の問題や人員は確保しても新卒者ということもあり、早期の対応は困難と考える。

〔委員〕
入院患者に抗がん剤を投与する場合は、いろいろなプロトコールがあるが、確実にきちっとプロトコールを投与して、ある疾患名のがん患者にこの量は多すぎるのではないかとか、この間隔で投与すべきではないかということをチェックできるシステムを作るということか。

〔事務局〕
現在、レジメンオーダをしており、それをチェックしている。

〔委員〕
院内製剤は決してリスクの高いものではないということか。

〔調査チーム〕
使用することによって生死に係わるというようなことは基本的にはない。

〔委員〕
通常製造されている薬では対応できない部分があるということか。

〔調査チーム〕
通常に製造されている医薬品については、副作用救済制度が適用されるが、院内製剤された薬にはその適用がない。

〔委員〕
年単位で何十年もその薬を使っている患者にとっては、その薬がないということは非常に困ることとなる。
薬剤関係業務については、これで検証を終了する。

(薬剤関係業務 検証終了)

【結果:薬剤関係業務は、調査チームから指摘・要望された11項目の改善を進めることとし、検証を終了する。】

薬剤関係業務については、これで検証を終了する。

 

イ 手術室業務

調査チームから、調査報告書について説明。

〔調査チーム〕
総論については、患者誤認・手術部位間違いを防止するためのマニュアルの改訂が望まれる。また、手術室における輸血に関するマニュアルの改訂が望まれる。手術室における防災体制のために備品整備が必要と思われる。手術室担当の臨床工学技士(ME) の増員が必要と思われる。手術室での薬剤師の関与が少ない。看護師長がリーダーを兼任しているので、師長業務に専念できるように看護師増員などの対策が必要と思われる。これらをメインとして、それぞれ各論で述べる。
はじめに、患者誤認防止マニュアルの名称改訂を指摘しているが、これは修正の必要がないので訂正する。
患者誤認マニュアルでは、ベッド乗り換えホールでまず患者確認を行うが、その手順が明確になっていない。患者に名乗ってもらった氏名と何を確認するのかが明らかになっておらず、何と確認するかが一番問題である。この点は、私が訪問調査する前に山梨大学看護部による指摘がされていたため、訪問時には実施表での照合による改善がされていた。ただし、照合する用紙が正しいのかどうかを予め確認しておくことが必要であると思われる。印刷されたものであったで大丈夫と思うが、人が転記したものであれば転記ミスということがあるので、なるべく申し込みのままの情報が載ったものと照合する必要があると思う。患者に名乗ってもらうだけではなく、術式や手術部位も確認することが重要であると思う。ある程度マニュアルに記述されているが、その点に留意してマニュアルを改訂する必要がある。
また、手術室の入口のホールを超えて各手術室に患者が入室していくが、それぞれの部屋に入っていく際の確認の手順についても改訂が必要であると思う。具体的には、現在、市立甲府病院ではリストバンドのバーコードでチェックしているが、1室でも、2室、3室でもバーコードチェックでは入室できてしまう状況にある。これはシステムの問題となるのですぐに改善することは困難と思うが、現行の方法では単に入室したことを記録しているだけのものであって、患者の名前をチェックしているものではないということを認識しておく必要がある。よって、各手術室に入った際に、再度患者誤認をしていないこと、部屋の間違いがないことを確認する手順を、もう一度考慮してマニュアルを改訂することが良いと思う。ある程度は記述されているが、誰が何と何を確認するのかを明確にする必要があると思う。
また、手術室当日の手術の流れや緊急手術によって、部屋が変更になることは多くある。部屋が変更になった場合に各部屋の入室を固定してしまうとバーコードでチェックしたときに入れなくなってしまうとことがあることから、どの部屋でもチェックできるようになっているとのことであったが、人の手で中央廊下と各部屋のホワイトボードを変更することで現在は対応している。
今のところ間違えるようなことはないが、電子カルテやリストバンドチェックもあるので、次回の電子カルテの更新時には、電子的な手術室の割り振りを行い、リストバンドで入室間違いをしないようにできればと思う。その際には、手術室の割り振りの変更処理があるので、電子入力を担当する職員の増員も考えた方が良いと思う。
次に、「同意書等をチェックすること。」とマニュアルには記述されているが、同意書は患者と一緒に運ばれてくるだけなので、患者チェックには使えない。同意書は患者がその手術に同意しているだけのものであることから、同意書でのチェックではあまり意味がない。
また、手術を始める前に全職員の仕事を止めて、患者の手術があっているかどうか、患者を間違えていないかなどを、スタッフ全員で確認しあって手術を始めることをタイムアウトというが、マニュアルにはタイムアウトを行うとの記述はあるものの、実際にはタイムアウトを行っていない診療科がある。
どのような手順で何を確認するかなどタイムアウトの手順を具体的に記載し、全診療科で実施すべきである。他病院では全身麻酔は、術者(助手)、麻酔科医、看護師の3者立会いのもと、手術麻酔申込書と手術同意書を元にして、声に出して手術部位、左右、術式について確認している。また、現在は相互チェックなどでさらに厳しくなっており、各スタッフの自己紹介、手術予定時間・予想出血量・準備血・その他患者の問題点などについても皆で確認し合ってから手術を行うこととなっている。
手術部位については、手術予定表での部位確認や画像での確認などはマニュアルにも記載されているが、左右間違いが問題になる。目の手術の場合は右目の下に矢印を書いたり、印をつけたり、右手であれば右手に印をつけるなどのことをマーキングというが、左右間違いを予防するために行うマーキングが確実に実施されていない。
マーキングだけが左右間違いの予防方法ではないが、マーキングも行わずに手術予定表だけのチェックで手術を行うのでは、間違いを起こす危険がある。
手術予定表も入力自体を間違得ることがあるので、左右間違いを防止する方法を検討したほうが良いと思う。患者が寝た後ではなく、起きているときに何らかの印を付ける等の手順を検討する必要がある。
退室時については、患者が手首に巻いてあるリストバンドがあるが、市立甲府病院ではリストバンドを2つ付けてあり、1つを手術室入室時に外して手術室に置いて行き、もう1つのリストバンドは患者が付けているが、手術室に置いていったリストバンドは、実際には切り刻んで破棄されており、実際の手順をマニュアルに記載して欲しいと思う。
手術室の大きな事故の一つとして輸血の間違いがある。輸血の事故防止マニュアルがあるが、このマニュアルは事故防止というよりも輸血の実施のマニュアルを作成した方が良いと思う。実施の手順が記載されていないので、明確に決める必要があると思う。「病院の輸血施行時のマニュアル」を参照との記載があり、手術室についての記載はないので、どちらかのマニュアルに明確に記載する必要がある。
手術室での輸血製剤の保管に関しては、中央に専用の冷蔵庫があるが、その冷蔵庫に当日の患者の血液が全て入っていることから、1室の患者の血液を2室に持って行ってしまう可能性がある。間違えると大きな事故になることから注意を喚起するとともに、確認手順を決める必要がある。
また、血液型を計るために患者から採決を行うが、採血時に別の患者の血液と入れ違ってしまうという間違いが実際には起きてしまう。2 回以上別々に採った検体で血液型は測っておかないと血液型間違いが起こってしまう可能性があるので、この点を周知しておく必要がある。血液型を判定してクロスマッチを行えばよいが、血液型判定の検体とクロスマッチが同じであれば防止できないので、注意が必要である。
放射線照射の確認がマニュアルに抜けているので、記載して欲しいと思う。
血液型のチェックは、電子カルテでチェックすることとなっているが、電子カルテが他人のものという可能性もあるので、患者本人のものであることの確認が重要である。
T&Sの概念として、A型、B型以外の抗体があり輸血の副作用があると言われているが、その不規則抗体がないということの確認と、不規則抗体の有効期限が明記されていないので記述するようにして欲しいと思う。
体内異物残存防止に関しては、後ほど看護部から詳しく説明があると思うが、レントゲン撮影などの基準をマニュアルに記述して欲しいと思う。
転落・転倒についても看護部から説明があるが、注意することは、患者が歩いて手術室に入室し手術台に寝るときに、手術台の反対側にスタッフがいないと落ちてしまう危険があるので、反対側には必ずスタッフが立っているようにしたほうが良いと思う。
褥瘡、皮膚の損傷に関しても、後ほど看護部から説明があるが、手術台には頭を支える台や手を支える台が別々に付いているが、しっかりと固定されていない場合は途中で外れると危険なので、固定されているかを確認する必要がある。
熱傷予防について、手術室では熱傷が時々報告されるが、一つは消毒薬に電気メスの火が入ってしまい燃えてしまうことがある。また、患者が冷えないために体温維持の器機があるが、それによって熱傷を起こすことがあり、この点についてもマニュアルに明確に記載して欲しいと思う。
ME機器に関しては、年2回の定期点検を行うこととなっているが、点検の責任者がはっきりしていない。特に手術室担当の臨床工学士がいないので増員が是非とも必要と思われる。
針刺し事故は、単にリキャップしないということだけではなく、リキャップしなければならないこともある。血の付いている針をキャップに入れるときに手に刺してしまうことがあるので、これを防ぐための方法として片手でリキャップする方法なども周知した方が良いと思う。
麻薬管理に関しては、現在は麻酔科科長が全て行っているようであるが、手術室専任の薬剤師を配属して、麻薬・筋弛緩薬・吸入麻酔薬の管理を行うのが望ましいと考えるので、薬剤師の関与を増やして欲しいと思う。
DVTは特に足とかの静脈に血栓ができ、その血栓が血流に乗って肺に達して詰まってしまうことである。「DVT予防対策マニュアル」と「周術期肺塞栓症対策マニュアル」、患者に配る資料等があるが、なるべく一元化したマニュアルの方が実際には活用しやすいのではないかと思う。
また、マニュアルに掲載している情報量が少ないということで、「ガイドラインを参照してください。」とあるが、予防やリスク分類はそれに順ずるとの記載だけでは対策マニュアルとして不十分である。市立甲府病院として活用しやすいものにする為にも、予防やリスク分類に関して具体的なものを表などにまとめて、マニュアルに掲載されてはどうかと思う。その上で、「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」のアドレスを記載されると良いと思う。
ただし、このガイドライン自体も古いものとなっており、循環器学会などから新しいガイドラインも出ているようなので、循環器医師や外科医師などに相談し再度作り直したほうが良いと思う。
具体的には深部静脈血栓症から肺血栓塞栓症に至ったものを疑った診断や対応の手順が記載してはあるが、時間の流れでフローチャートなどを作成し、もう少し使いやすいものにしたほうが良いと思われ、一元化したマニュアルの中で検討されてはどうかというものである。
また、主治医が行うのか循環器の担当医が行うのかどちらが行うべき検査かが不明瞭なところがある。
手術の前にDVTが見つかった際の予防目的の下大静脈フィルターの適応についても具体的に記載した方が良いと思う。
患者用のパンフレットが作成されており、啓蒙することは良いと思われるが、看護師に対する看護の点で注意すべきことなども具体的に加えた方が良いのではないかと思う。
その他として手術室でDVTを予防するために足をポンプで締め付けたり緩めたりする下肢圧迫装置という器機があるが、手術室のものは手術室で脱着し、病棟では改めて着け直すこととなっており、台数の問題などもあると思うが、一度外すのではなく装着したまま病棟に移動できるような一元化した管理が良いと思われる。
低用量未分画ヘパリン・低分子ヘパリンなどの薬物的予防法を含めた対策は、各科によって違うと思うが決めておいた方が良いと思われる。
患者の入室・退室の基準があるが、マニュアル間で重複しているところがあるので、同じ内容とすることが必要である。
また、退室に関しては患者がどのくらい醒めているのかなどをチェック項目として具体的な基準を示した方が良いと思われる。
手術室の防災マニュアルについては、「手術室の避難誘導図を参照」となっているが、避難誘導図が無いようなので早急に作成する必要がある。実際の取り決めでは、1階の屋上に逃げることになっているようであるが、逃げられないときのために2方向の動線を確保することが必要と思われる。
また、今回の震災のこともあるが、電力が供給されなくなった際の照明、無影灯などの、どれが使用可能なのかをマニュアルに記載した方が良いと思う。大きな地震の時には酸素の配管が遮断されるとマニュアルに記載されているが、復帰がどのようになっているのかを周知した方が良いと思う。また、酸素の供給が断たれた時に、手術室における酸素供給は3系統程度必要となる。大きなボンベと小さなボンベに、各室の予備ボンベを入れての3系統であるが、3系統目の予備ボンベが各室に無いので、各室への装備が必要と思われる。
人工呼吸器は酸素で駆動するものや空気で駆動するものなどがあるが、それぞれの供給が断たれると動かなくなるので、把握することが必要であると思う。
アンビューバックは、人工呼吸器などの器機全てが動かなくなったときに、手動で患者を監視するための道具のことを言うが、全手術室に対して2セットしかなかったことから、各室に揃えるようにして欲しい。
無停電であると思うが、明かりが消えると動きが取れなくなるので、最悪のことを考えて各室に懐中電灯を備えておく必要があると思う。
また、今回の震災などを考えると、担架などや情報の確保手段も備えておいた方が良いと思う。手術室では血液などを吸引するシステムが必要であり、非常用吸引ポンプも備えておいた方が有利と思われる。
自家発電になったときには、水冷式では断水時に使用できないことから、井戸水などの対応が必要と思う。また、院内PHSシステムは全て非常用電源で使用可能かを確認する必要がある。
ベッド乗り換えホールマニュアルは、手術室医療事故対策マニュアルの最初の部分と同様の内容なので、統合した方が良いと思う。

〔委員〕
7番、8番、9番、10番の患者誤認については、確認方法として氏名だけでは駄目であるとか、術式や部位の確認が重要であるとかは、それぞれマニュアルに記載されているが、必ずしも同じではないので、これらを一括整理して新しくした方がよいとのことか。

〔調査チーム〕
まとめられるものはまとめた方が良いが、随時変わっていく部分もあるので、その部分は別に記載しても良いと思う。指摘した部分については、1つにまとめることはできるのではないかと思う。
ハッチウェイ操作マニュアルやベッド乗り換えマニュアルなどいくつかあるが、これらは1つにまとめれば利用しやすくなると思う。

〔委員〕
手術室や病棟など部署によってそれぞれ運用が異なると思うが、整合していない部分がある。また、術者と情報が分離してはならないとの指摘があったが、バラバラな印象を受けた。

〔委員〕
場面によって確認の仕方が違う。例えば入院患者に薬を与える場合、病棟の中にいる当該患者であることを確認するためには、本人に名乗ってもらった上でリストバンドの名前とバーコードで確認する方法が摂られている。特に薬を注射する場合は副作用などの危険があるので十分な確認が必要となる。
手術室では、間違った手術や左右の間違えはあってはならないことなので、起こらないようにかなり細かくチェックしている。ある程度元気な患者であれば自分で歩いて入室するので、入室時に患者に名乗ってもらい、あらかじめ手術室に届いている情報やバーコードで突合せを行い予定されている患者であることを確認することとなっている。その後に1番の部屋へ入ることになっていたものが、緊急手術などで部屋が変更になったときなどに、新たな部屋でも間違わないように確認するシステムが必要となってくる。
そして、麻酔をかけるときにも間違わないで麻酔をかけ、手術をするときにも手術する側があらかじめ自分で記録してきたものと手術室に来た資料とを突き合わせて、タイムアウトの話があったが、術者と看護師と麻酔医その他スタッフが手術内容を一緒に確認するが、手術室に来た情報も間違って来ないようにどうやって確認するかが必要である。術者は覚えているが、看護師などは普段患者と顔を合わせていないので、手術室の中でいかに正しい情報を正しく伝えるかというシステムを改善する必要がある。
病棟と手術室では確認する方法も異なっており、ある一つの決まったシステムではなかなかできないものである。
手術室に入ってきた患者を間違わずに確認し、正しい手術室にお連れして、麻酔医が正しく麻酔をかけ、術者が部位を間違えずに正しく手術を行えるかというところまでは、ある程度チェックすることはできているが、更なるチェックが必要ということである。
14番の輸血事故防止の手術室における輸血実施に関する手順の記載が無いとのことであり、病院の輸血処理のマニュアルが使われていると思われるが、手術室での輸血に関することが記載されていないと指摘されている。輸血は間違いが起こりやすいので、間違わないようかなりしっかりしたシステムが必要である。
また、30番のME機器は年2回定期点検を実施しているが、点検の責任者として臨床工学士が明記されておらず、手術室におけるME機器管理を行うためには、手術室担当の臨床工学技士の増員が必要と思われるとの指摘である。MEを増員するといっても定数の問題などがあり難しいことであるが、できれば専門の職員を増やして定期的にチェックすることで、より良くなるということはどの病院でも言われることで重要な点である。
その他の32番、33番では、先程薬剤業務の中でも聞いたが、手術室における麻薬管理に関する手順がマニュアルに記載されておらず、これは全部薬剤部で行われているということであるが、次の33番で手術室内の薬品の点検が1か月に1回薬剤師が2名しか入らないというのは少ないとの印象を受けた。毎日とは言わないが週に1回程度は薬剤師が手術室に入られた方が良いと思う。特に麻薬や筋弛緩薬などの管理はしっかりできるようにした方が良いものであり、指摘のとおりであると思う。
35番以下は、下肢動脈血栓と周術期肺塞栓症対策マニュアルであるが、最近よくエコノミー症候群と言われているが、長時間同じ体勢をとっている血栓が出来てしまい、血栓が肺に達して命が危うくなることがある。これについて、術前からの予防や実際に起こってしまったときの対処などのマニュアルがあるが、手術室の中での肺塞栓マニュアルが記載されているが、すこし内容が少ないと思う。
具体的にどのようにするかなどが、あまり書かれていないように思う。また、患者用のパンフレットも改善した方が良いと思う。肺塞栓マニュアルに関しては35番から46番までの指摘がされている。
手術室防災マニュアルも、指摘内容を踏まえた改善が必要である。
では、ここまでに関しまして、既に対応している状況等を病院側から説明をお願いする。

〔事務局〕
患者誤認に関しては、患者確認の照合は電子カルテから出力した手術予定表を使用しており、患者名や術式、血液型も記載されているので、この手術予定表により確認することと変更した。それ以外の指摘事項については改善していく予定である。
また、リストバンドについては、輸血事故防止にも関連するが、リストバンドをなぜ切断して使用しているかというと輸血をするためであり、輸血する際にはまずリストバンドで患者を認証し、輸血製剤にあるバーコードを読み込み、一致しないと先に進めないシステムとなっている。このため切断して使用している。この方法であれば輸血間違えという事故はほとんど起きないと考える。また、あえて手術室の輸血マニュアルを定めていなかった理由は、手順が病棟と全く同じであるということで手術室専用のマニュアルを作っていない。
放射線製剤の運営に関しましても、当院では放射線照射済の製剤のみの使用としており、オーダも照射済の製剤のみの選択しかできないシステムとなっている。
タイムアウトに関しては、世界保健機関(WHO)のチェックリストを利用し、また、看護師が強制的に医師に対してタイムアウトをさせるような、強制的な実施を考えている。WHOのチェックリストを病院の体制に合わせて改訂し使用する。限られた時間の中で実行できるようなチェックリストとしていきたい。
マーキングに関しては、当院では全く行っておらず必要なことなので、シールを貼るとか、丸を付けるとかの方法でマーキングを実施することとした。
DVTに関しては、改訂前は細かな要領やガイドラインがあったが、簡素化した。改訂以前に戻し、より具体的な手順やフロアーチャートなどの内容を記載することとした。
また、予防目的の下大静脈フィルターの設置は、当院の循環器内科が行うことになっている。ある程度リスクの高いものに関しては、必ず循環器内科を受診して下大静脈フィルターも検討するという方法となるような項目を作ってマニュアルを作成して行く。
防災に関しましては、酸素の供給が遮断されたときは、使用できる数が限られており、既に麻酔器への予備酸素ボンベの装着は行っており、アンビューバックも発注をした。その他の指摘についても改善できるところは実施して行く。

〔委員〕
DVTに関して、36番の間欠的下肢圧迫装置の一元管理についてはどうか。

〔事務局〕
術後のポンプを使用しているのは整形外科だけであるが、次回の整形外科の機器の更新の時には合わせるようにしていきたい。

〔委員〕
患者が立ち上がって安全が確認できなければ外さないというのがルールであるので、一度外してしまうと意味がなくなってしまう。手術室から病棟に行く間は付けたままにしておき、病棟に着いたところで再稼働させるようにした方が良いと思う。装置などを付けていたか付けていなかったかということが後に問題となる場合がある。
続きまして看護部で行った調査の指摘内容について、説明をお願いする。

〔調査チーム〕
手術室看護業務管理及び医療安全管理に関しては、先の報告と重複する部分があるので、割愛しながら説明する。
患者誤認防止に関しては、入室時に乗り換えホールで患者が先に行き、カルテは申し送り後手術室に運ばれる状況があった。カルテと患者が離れることの危険性は1999年の横浜市立大学の患者取り違え事例のようなことがあるので、間違いを防止するためにも、患者とカルテは一緒に移動できるよう検討が必要と思う。
手術部位の確認(タイムアウト)に関しては、先に報告があったので、割愛する。
また、薬剤管理に関しては、まず、払い出された麻薬は、麻薬用金庫に保管されて、施錠できる机の引き出しに収納されていた。しかし、麻薬用金庫は手提げ金庫で、金庫の施錠をしないまま引き出しのみ施錠している状況があった。鍵の管理を含めて、更に徹底した管理が必要であるとともに、手提げ金庫は持ち出される可能性があるので、速やかに固定された金庫等の設置が望まれる。
また、手術野での薬品の取り扱いについては、現場確認時に麻酔科医師と看護師の相互の確認が行われていない状況があったので、声出しによる確認は是非実施して欲しいと思う。
輸血の管理については、先程報告があったので割愛するが、一点、輸血の保存に関して、輸血保冷庫の庫内温度記録について現場確認時には確認できなかったが、記録をしている場合は継続して欲しいと思う。また、毎日の温度記録を残すことによって適正な管理が実施されていることの証明にもなるので、是非実施して欲しいと思う。
もう一点、手術室から病棟に持ち出した血液は、何時間以内であれば使用可能とするのか明確ではなかったので、基準を作成して欲しいと思う。
5番の体内遺残防止については、閉創時の器械カウントについて器械出し看護師がリストを基に行う方法や器械出し看護師がリストを外回り看護師に渡し読み上げてもらい確認する方法などがいくつかの方法が混在している状況が確認された。後者の場合2回目の器械カウントは、使用した物を看護師の記憶に頼って実施しているとのことであったので、かなり不確実であると考えられる。また器械及びガーゼ・消耗品のカウントの一致を声に出して確認し合うなどの行為は限定的であった。カウントの一致と共有が図られているとは言い難いので、今後は、カウント方法を統一し、外回り看護師と器械出し看護師の責任の所在を明確にして、カウントの一致をする際には、はっきりと声を出して、手術に関係したスタッフ全員で確認できることが望ましいと考える。不一致の場合は全員で探すということが必要と思う。
また、手術器械の点検に関しては、器械出し看護師が器械カウントを行う際に、器械の員数点検は行っていたが、器械の動き・破損の有無・先端の一致などの点検を行っていない状況があった。器械の故障は、後で判ることがあるので、手術中の使用に伴う破損や破損した器械の一部が体内遺残するケースもあるので、員数点検とともに器械の動きや破損の有無などの確認が行われることを望む。
ガーゼ・器械カウントについては、マニュアルの中に「ガーゼ等の迷入の可能性が極めて少ない術式に関してはカウントしない」とされているが、根拠及び該当する術式を明確に示し、手術室の職員全体で共通理解する必要があると考える。また、X線に映らない白ガーゼの使用基準も同様に考えられるため、「ガーゼ・器械カウント不要」「白ガーゼ使用」に関するルールを明確に示すことが重要であると考える。
6番の転倒・転落防止に関しては、先に報告もあったが、加えて患者が乗り換えホールから手術台に移って各手術室に別れるときに、手術台に患者が臥床した状態で搬送しているが、固定が殆どされていない状況が見られた。確かに前後や左右に職員が付いているときもあったが、転落防止・危険予防の観点から術前に麻酔の全投薬を打っている場合などは、患者をマジックベルト等で固定することが望まれる。また、ベッド乗り換えホールで、弾性ストッキングを装着した患者が歩行入室していたが、スリッパに履き替えており、一般的にスリッパは病棟でも転倒リスクが高いことから、なるべく履かせない方向で指導されるものであり、転倒リスクを高めることになるので、履いてきたもので入室するか履物の検討が必要と思う。
7番のME機器の管理に関しては、先程報告があったので割愛する。
8番の手術部看護部門管理に関しましても報告があっが、加えて 手術部門全体の業務を見直すことによって、看護師数を増やすことだけではなく、看護師以外でも行える業務を明確にし、それぞれの役割を分担することで、より効率的な手術部門の運営が可能になると考えられる。
その他として、患者が入室時に着物の着用がなく下着1枚で入室する状況がみられたが、患者のアメニティーへの配慮を考えて欲しいと思う。
タイムアウトに戻るが、全身麻酔の場合と局所麻酔の場合はやり方が違うので、局麻の場合には患者がクリアーなので患者に参加してもらい、自分の術式や左右、氏名を確認してもらうと、非常にスムーズに進められる。全麻と局麻のそれぞれのマニュアルを作って行ったほうが実施しやすいのではないかと思う。

〔委員〕
ここで病院側から対応状況等について説明をお願いする。

〔事務局〕
患者誤認防止については、手術予定表を見ながら確認している。
指摘があったように、患者自身に術式や左右を言ってもらい確認したうえで各手術室に入室するようにしているが、マニュアルへの具体的な記載がなかったことから改訂する。
タイムアウトに関しては、現在マニュアルへの記載を行っているところであり、手術室内のホワイトボードにガムテープで名前、術式、左右を書いて提示し、執刀医、麻酔医、外回りなど手術に係わるスタッフで確認している。
麻薬金庫については、固定型の金庫を発注している。
輸血に関しては、毎日の温度記録を残すこととなっており、記録紙が出力されている。
体内遺残防止について、器械の確認は準備する際に器材が破損していないか確認しながら1回カウントし、器械出し看護師がさらにカウントをしている。3回目は途中で器械などを追加することがあるので、外回り看護師が追加数を記録し、器械出し看護師と外回り看護師とで器械数、ガーゼ数などをダブルチェックしている。カウントしている間は執刀医も手を止めて確認し、全てが一致しても最後にX線での確認を行う。
転倒・転落防止に関して、ベッド乗り換えホールから手術室入室時のスリッパの履き替えは、履き替えなくても入室できるようにしたいと思う。
下着1枚での入室については、手足の一部が出ている以外は全てバスタオルで覆うようにしている。
同意書に関しては手術が始まる前に、術式や部位などの情報を電子カルテから確認している。
薬剤師の係わりであるが、今後、麻薬や筋弛緩薬、向精神薬に関しては、薬剤師が手術室に出向いて、使用簿と残薬数、空アンプル等の確認をして補充していく方法を検討している。また、手術室担当薬剤師は、現在1名であるが2名に増員し月1回程度ではなく回数を増やしていくよう検討している。
白ガーゼのカウントについては、小さいものはカウントしていなかったが、白ガーゼ使用に関する基準等をマニュアルに掲載していきたいと考えている。
臨床工学技師の増員の関係について、現在、当院の臨床工学士は、人工呼吸器や輸液ポンプ、シリンジポンプなどのポンプ類の点検と透析室を中心に業務を行っており、手術室にはなかなか入っていない状況にある。今後は業務全体を見直す中で、増員も含めて業務の方法などを検討していきたいと考えている。
手術部看護部門の管理については、指摘されたように現在は看護師長が行っており、看護師長が不在時は副看護師長となるが、手術調整から事務的な連絡、業者対応など全てを行っているのが現状である。
手術部門全体の業務を整理見直しし、看護師長の役割、副看護師長の役割を明確化するとともに、リーダー的な看護師を養成して、看護師長、副看護師長の補佐ができるような体制にしていきたいと考えている。また、他職種、特に臨床工学士や薬剤師の係わりを増やし、専門的な知識・技術をもととした管理・点検などへの協力を求めて行きたい。手術後の片付けや部屋掃除など看護師以外の職員ができる業務は、看護助手を増員するなどして役割分担を図って行きたいと考えている。

〔委員〕
60番ですが、カルテと患者が離れていたという指摘の部分について、患者ファイルという言い方があるが、患者ファイルとはカルテのことでよろしいか。7番の患者誤認のところでも手術予定表という言葉がある、同じ意味でよろしいか。

〔委員〕
本来電子カルテになると、カルテそのものがなくなってしまうが、書類が入るケースは残っている。そのケースと患者が離れてしまうという指摘であり、常に誰かが持っているわけにはいかないことから、患者が先に行ってしまったり、逆に書類が先に行ってしまったりしてしまうことがある。同時に移動しないと間違いが起こる可能性があるというものである。

〔委員〕
カルテと患者が離れてしまうことを防止する手立てとしてはどのようなものが考えられるか。

〔委員〕
患者が入室したことを確認した時点で、必ず付き添いの人が看護師に申し送ることが必要である。

〔委員〕
手術室に必ず申し送りをしたかなどは、チェックポイントとしてマニュアルに記載されたルールがあるが、事情があって実行されていなかったということか。

〔委員〕
例えば、ある時間だけ患者が集中してしまいスタッフの対応が間に合わないなどの状況がある。この場合も本来であれば手術の開始時間を遅らせても、一人ひとりの確認をしっかりと行わなければならないと思う。
朝から手術を行う病院などでは、患者が集中するので少しずつ開始時間をずらして行うところもある。
66番の麻薬の鍵の管理は誰が行っているか。

〔事務局〕
手術室の看護師長、副看護師長である。

〔委員〕
24時間対応か。

〔事務局〕
24時間は無理なので、鍵のかかる別の場所に保管している。

〔委員〕
夜中の救急対応の場合はどうか。

〔事務局〕
手術室の職員はわかる場所となっている。
鍵を手にするまでには3段階の手順を踏むこととなっている。鍵で開けたところを、さらに鍵を使って開き、またさらに別の場所を開いて初めて麻薬を手にすることができるようになっている。

〔委員〕
時間帯ごとに、誰が鍵を管理しているか把握しているか。

〔事務局〕
夜間は担当看護師が常に鍵を持ち歩いており、日中の鍵の管理は、特定の職員に限定すると各手術室で行われている手術ごとに必要となる麻薬を取り出す場合に非常に煩雑になってしまうことから、特定の場所に鍵を保管する方法をとっている。

〔委員〕
確実に管理者を決めておいたほうが問題は起こらないと思うので、検討して欲しいと思う。
最後の感染管理と褥瘡対策の説明をお願いする。

〔調査チーム〕
ファシリティ・マネジメントに関する清掃については、全域において埃が除去され清潔が保たれていると感じられた。また、「環境整備チェックリスト」が作成されており、日々のチェックがされていた。しかし、看護師が清掃を行っており、補助者への業務委譲など看護業務改善が望まれる。これについては先程看護部長からその方向性で考えているとの話しがあったので、是非よろしくお願いしたい。
血液などの湿性生体物質による汚染部分の処理方法については、プロベスト、これは第4級アンモニウム系薬剤であるが、これを使用しており、中水準消毒薬によるピンポイントの消毒が適切と考えられる。したがって、界面活性剤による生体物質の除去の後に、中水準消毒薬による環境消毒の手順を整備して欲しいと考える。これは、手術室だけでなく病院全体のマニュアル化が必要と考えられる。
空調に関しては、手術の途中で空調が作動していないことに気付くといった状況があった。これは現場確認の際に空気が流れていない状況が確認されたものであり、手術室の清潔度は空調清浄度の差であることから、作動状況の確認が徹底されるようにお願いしたい。
水質は、手洗いにRO水が用いられており、年1回の水質調査が実施されているとのことであったので、これは問題がない。
感染性廃棄物に関しては、耐貫通性のバイオハザード表示のある容器が使用されており、足踏み式ホルダーが活用されていない。蓋がされずに開放のまま床置きされていた。基本的には感染性のものは蓋をしておくこととなっており、感染性廃棄容器は蓋付きのものにして欲しいと思う。また、ホルダーの活用についてスタッフへの周知をお願いしたいと思う。
手術終了後のゴミ集めの場面で、感染性廃棄容器に手でオイフを押し込む状況があった。針刺し事故のリスクが非常に高いことから手で押し込まないことの徹底が必要であると考える。確認したところ、その容器の中には危険なものは入れないとのことであったが、職員の入れ替わりもあるので、徹底をして欲しいと思う。
液体、血液や体液など鋭利物以外のオイフも耐貫通性容器に入れていたが、バイオハザード表示のダンボール廃棄容器であれば容量も多くコスト削減につながるのではないかと考えられる。
一時的保管場所は施錠可能な場所で、収集通路への搬出も一方向性が確保されていたので、これは良いと思う。
リネンに関しては、血液等湿性生体物質汚染のリネン容器に蓋がないので、蓋の設置をお願いする。
各自の手洗いに関しては、ブラシの使用ではなくラビング法が推奨されており、使用されている洗浄消毒剤、アルコール手指消毒剤も問題はなかった。手洗いシンクも清潔に保持されていたが、手洗い後の水はねが目立っていたので、シンク周囲の乾燥保持のために適宜の清掃が必要であると考えられる。
標準予防策について、手指衛生はスタッフ個々によって実施状況に差が見られた。手指衛生行動の向上は継続的に取り組んで欲しいと思う。床に落ちた包装紙を素手で拾いポケットに入れ、その後は手洗いをしていない。または手指消毒をしていない。手袋を脱いだあと手指衛生がされていない。このとき手袋を脱いだときもアルコール消毒が必要であるが、実施されていないなどの場面が確認された。
防護具、手袋、マスク、ガウン、エプロン等について、各部屋には手袋は常備されていたが、マスクやエプロンなどの設置がなく、必要時にすぐに使用できる環境ではなかったので、整備が必要と思う。看護師のゴーグル着用は徹底されていたが、メガネ使用者のゴーグル着用率が低かったので検討が必要と考える。器材片付け時の手袋、尿破棄時のエプロンなど、必要な防護具が着用されていない場面があった。手袋装着の目的が不明と思われる場面があり、例えば、手袋装着した手で患者の健康な皮膚や病衣に触れ、その後そのままの手袋で周囲機器類に触れるなどの行為が見られた。
器材の洗浄・消毒・滅菌に関しては、器具の洗浄効果の確認、生物学的・化学的インジケーターを用いた滅菌保証は、定期的に実施され記録が残されており、保持されていると考える。外注職員が器材を洗浄する際に、袖なしのエプロンを装着していたが、血液などの跳ね返りも予測されるため、袖付きガウンが適当であると考えられる。ガウンの配置がないところがあったので、撥水性もしくは防水性ガウン、又はロング手袋の導入の検討をお願いする。
既滅菌器材の保管に関しては問題はないが、クリーンゾーンの入口にエアーシャワー設備が設置されており、入口は良いが各手術室に自由に入室ができるため、スタッフが出入りしている場面が確認された。クリーンゾーンと手術室とでは空調が等圧であることから、クリーンゾーンをクリーンゾーンとするのであれば各手術室に対して陽圧設定に空調する必要があるとともに、スタッフの動線を規制するなどの取り組みが必要であると考えられる。
内視鏡の自動洗浄機に関しては、洗浄槽の汚染が確認された。定期的なメンテナンス実施と、日々の濃度チェック実施、及び記録の必要があると考えられる。また、管理マニュアルの作成が必要と考えられる。
スポンジやタワシ類の管理については、病院全体での規定を明確にすることが望ましいと考える。例えば1日ごとに捨てるとか、1回ごとに捨てるとかの検討をお願いしたい。
気管内チューブのカフエア注入用の注射器、胃管の空気注入用の注射器など単回使用器具のリユース、1回使ったものがそのまま机などに置かれて使われていることが確認された。取扱説明書に単回使用と表示のある器具のリユースについては、部署内及び病院としての規定が必要であると考える。確認されたリユースとしては、消毒薬ボトルを排液ボトルとして使っている。クルムを排液ボトルの固定ヒモとして使っている。手術時手洗いの際に使用した手拭きペーパーを雑巾として使用しているなどが見られた。
針刺し事故防止に関しては、局所麻酔薬のリキャップはすくい上げ法で実施されていた。針捨てBOXは、基本的には80%以上廃棄されたものがあったので、70~80%での廃棄を徹底してする必要があると思う。一杯に入っていると針刺しにもつながるので、是非検討をお願いしたい。
術者と直接介助者との持針器やメスなど器械の受け渡しでは、危険な渡し方・受け方をしている場面が見られた。また、相互の声掛けが少ないと感じられたので、事故防止の面から器機の受け渡しにおける安全な手順や声出しの必要性を検討して欲しいと考える。
院内感染防止対策マニュアルの中で確認したことは、CJD対策、手術時手洗い、廃棄物処理、手術野消毒薬、手術器材処理、針刺し事故防止、除毛、手術室設備管理、SSI対策について確認をした。これらの項目については記載があることを確認したが、内容に関しては、各項目で概念記述が多く、臨床現場における具体的行動レベルでの表記へ改訂すると、より活用が促進されると思うので検討をお願いする。
手術室の褥瘡対策については、手術中の褥瘡発生の可能性やリスク、手術時間、手術中の低血圧状態の頻発、術中のシーツ対応の経過などによって、褥瘡が発生しやすい状態などがあるので、是非手術中の褥瘡対策を実施して欲しいとの考えから指摘する。
まず術前訪問については、体位固定によるリスクをアセスメントすることが目的の一つになっているが、術前訪問の対象者が明確に示されていない。褥瘡対策の視点からも訪問対象患者の基準が必要であると考えられる。
術中の褥瘡対策については、全手術室の台に「ウレタン素材のマットレス」が新規使用されていたが、褥瘡対策を意識した活用になっているとは言えない状況が見受けられた。また、上肢・下肢・特殊体位、腹ばいになったりとか、横になったりとか、座っての手術とか、載石位などで必要となる体圧分散用具の補助具は整備されていない現状があったので、是非褥瘡対策の視点での活用と整備が必要と思う。
褥瘡発生時の報告ルートについては、褥瘡対策は医療チームとして係わる必要があり、病棟や褥瘡対策チームとの連携が重要である。褥瘡発生時の報告ルートが明確になるとすばやい対応ができ、また手術室のことを病棟に申し送ってそこでの対応ができるので、是非そのルートも明確にして欲しいと思う。
褥瘡対策マニュアルについては、手術によって褥瘡発生リスクが高まることから、褥瘡マニュアルの中に「手術室における褥瘡対策」の項目を是非設けて欲しいと思う。
手術室で使用する体圧分散用具の選択基準に関しては、看護師個々の判断に任せられている状況があったので、褥瘡予防管理ガイドライン等を活用して選択基準を作成することが望まれる。
神経障害予防の体位については、具体的な体位の取り方はマニュアルに記載されているが、更に科学的な裏付けが記載されることによって、状況に応じて神経障害を予防する看護師の判断の幅が広がると考えられるのでお願いしたい。
褥瘡発生要因のシーツの皺については、マニュアル内にはシーツの皺を「きれいにのばす」と記載されていたが、実際の場面では確認できなかった。是非、実施して欲しいと思う。
手術中の観察項目については、「褥瘡好発部位」が記載されており、紙面でのチェックはされていた。しかし、観察を行った上でのチェックとは見受けられないので改善が望まれる。
術前及び術後の皮膚の観察については、挿管前や切開する前の皮膚の観察が実際に行われているかは訪問調査時には確認できなかった。術後の観察はハッチウェイで側臥位になった時に、看護師の目視により行われていることは行動から確認できたが、声に出すなどの行為は見受けられなかった。皮膚の観察はチェックリストに基づき観察し、目視と共に触れることが必要であると思う。
褥瘡対策のマネジメントについては、手術体位を整える場面で褥瘡予防の知識を活用することは有効であり、また皮膚観察の視点を持って目視に加えて触診、触ってみることが非常に大事なので、手術部での発生の特徴と言われている深部損傷褥瘡、DTIと言われるが、その予測が可能となると考えられるので、積極的な褥瘡対策マネジメントをお願いしたい。
周手術期の看護及び診療報酬改訂による褥瘡対策として、褥瘡対策のマニュアルの整備、褥瘡のデータ分析、手術室で使用する体圧分散用具の整備、褥瘡対策の実際の実施を、今後期待する。

〔委員〕
手術室業務マニュアルの中に褥瘡対策はあるか。

〔調査チーム〕
体位固定の基準があり、手術体位を取るときに手術に適した体位について、褥瘡予防という視点を踏まえた体位の取り方が考えられることから指摘した。

〔委員〕
病院側から対応状況についての説明をお願いする。

〔事務局〕
清掃についは、湿性生体物質による汚染部分の処理方法は、プロベストを使用していたが、訪問調査後に0.5%ピューラックス溶液による環境消毒を実施している。
空調に関しては、通常は稼動しているが、訪問調査時には稼動しておらず指摘を受けた。
針刺しに関しては、以前は蓋付きのフット式廃棄物ボックスを使用していたが、スタッフの用務が煩雑になることなどからキックバケツを廃止し、感染性廃棄容器を使用することとなった。現在のボックスには、絶対にメスや針などは入れない決まりになっており、危険物は入っていない。再度フット式にするにはどのような運用が必要かを検討する。
手術室への段ボール廃棄容器の設置については、菌や虫などが付くことから採用していない。安価であることは承知しているが、当院の手術室ではダンボール容器は一切採用していない。
手洗いシンクの周りについては、看護助手が清掃をしている、使用者が絶えず手洗いしていることから、時間帯を決めて清掃している。
標準予防策については手袋のみであったが、指摘を受けた翌日にはマスク、ガウン等を各手術室に整備した。再度、標準予防策については徹底して行く。
器材を洗う際に袖付きのエプロンを装着していなかったが、変更する。ロング手袋は配備してある。
内視鏡の自動洗浄器は使用していない。一般的な洗浄は滅菌室で全て行い、スコープ類は内視鏡室に依頼しており、現在は一切使っていない。
気管内チューブのカフエア注入用注射器などについては、再利用しないようにする。
手術中に使用する鋭利な器械の受け渡し方法の徹底と、受け渡し時の声かけの徹底を周知する。
褥瘡対策の徹底については、認定看護師がいなかったものの、今年配置できたので、体位等について検討し啓蒙して行く。また山梨大学の認定看護師にも体位等の写真など情報をもらう中でマニュアル作成チームを編成し整備を進めている。

〔委員〕
体位固定を行い、合併症が発生したというような場合は、固定をした責任者は手術をした外科医なのか、麻酔医なのか、誰になるのか。

〔事務局〕
最終的な責任者は執刀医となる。

〔委員〕
手術室業務に関して、総括するにはかなり膨大なので後でまとめる。かなり細かい指摘もあることから、議事録の中でまとめる。
患者確認に関しては、一貫したものがあるのかとの指摘は正しいと思う。常にスタッフも思って行っているが、患者もいろいろな状況にあり、常に同じ対応で行うことは難しいものである。しかし、手術室の対応は究極的にやらざるを得ないので、こういう話は非常に重要である。

〔委員〕
86番でダンボールの廃棄容器なら容量も多く、コスト削減にもつながるとの考えによる指摘に対して、病院側ではダンボールは虫が発生するなど予測されるので変更しないという明確に見解が違うと思ったが、どうなのか。

〔調査チーム〕
提案したダンボールは医療廃棄物用のバイオハザード付きの特殊なダンボールであり、それを使うと良いのではないかということである。

〔委員〕
バイオハザードとは、血液が付くなどして何らかの感染を持つ可能性があるものであり、耐貫通性というのはプラスティックのしっかりしたもので、針などが突き通ったりしないもののことで、耐貫通性の容器には基本的には何を捨てても良いというものである。ただし経費がかかってしまう。手術中に使ったガウンや布などの血液で汚染されたものをまとめて入れ、外に置いても大丈夫なようなダンボールに入れておいたほうが、容量も一杯使えコストも安いので使い分けてはどうかとの提案であり、検討して欲しいと思う。
MEや薬剤師が常駐では病院でも、ほぼ毎日手術室に入っており、特に薬剤師は麻薬など管理もあるので、毎日入ったほうが安全と思うことから改善をお願いする。また鍵の管理の改善もお願いする。
手術室業務については、これで検証を終了する。

(手術室業務 検証終了)

【結果:手術室業務は、調査チームから指摘・要望された104項目の改善を進めることとし、検証を終了する。】

手術室業務については、これで検証を終了する。

 

3 閉会・院長あいさつ

指摘、指導いただいた事項は、それぞれの責任者から対応状況の説明したが、特にスタッフの確保の問題などを踏まえ、病院としてできる限りの改善に努めていく。

 

医療安全体制等検証委員会 第3回委員会 決定・指摘等事項

〔決定事項〕
1 薬剤関係業務は、調査チームから指摘・要望された11項目の改善を進め、特に薬剤師の手術室への関与を増やすよう努めることとし、検証を終了する。

2 手術室業務は、調査チームから指摘・要望された104項目の改善を進め、特にMEや薬剤師の手術室への関与を増やすとともに、麻薬管理の改善に努めることとし、検証を終了する。

3 次回開催は、平成24年3月19日(火)午後5時00分から開催することとし、議題は「病棟等業務」を予定する。

 

〔指摘・要望事項〕
1 薬剤関係業務

  • 調査チームによる11項目の指摘・要望事項は、別紙「指摘等事項に対する対応状況一覧<薬剤関係業務>」を参照。

2 手術室業務

  • 調査チームによる104項目の指摘・要望事項は、別紙「指摘等事項に対する対応状況一覧<手術室業務>」を参照。