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RI検査問題に関する調査委員会 会議の概要3(平成25年8月25日)

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RI検査問題に関する調査委員会

第3回委員会 会議の概要

 

日  時 : 平成25年8月25日(日)
午後1時~4時50分
会  場 : 市立甲府病院 第一会議室

 

出席者
委  員、4名
職  員、9名

1  開会及び資料確認

2  委員長あいさつ
本日の調査委員会の中心となる議題は、河野副委員長の提案で作成していただいたこの問題を時系列に整理した表についてその内容を精査するとともに、不足する情報を得るために関係者に対して、具体的にどのようなヒアリングが必要になるのか、また、ヒアリング以外にどのような調査・検証が必要になるのかを検討することになると考えている。

3  議事
(1)調査報告書の構成について
長尾委員長から、「調査委員会で議論を進めるにあたって、具体的な報告書の内容をイメージしながら進めると内容を整理しやすいので、始めに調査報告書の組み立てを検討したい」という提案があり、調査報告書の構成について検討した。
長尾委員長から、次のとおり原案の説明があった。

① はじめに

② 調査委員会開催と調査方法
・調査委員会の開催日時、概要、例えばヒアリングが実施されたなどの内容になる。

③ 事実経緯の詳細
・これまで、病院でまとめたものもあるが、この調査委員会として改めて把握し、報告書に整理する必要がある。

④ 調査結果
・調査結果では、まず始めに、患者さんに対してどのような過量投与が行なわれていたのかという「放射性医薬品過量投与の全容」の記載の必要がある。
・次に、「RI検査室における業務工程」ということで、通常の水準の病院であればどのようなことが求められているのかという工程と、それから、それに比べて市立甲府病院の業務状況はどのようなものだったのかという調査結果を盛り込む。
・3番目で、「過量投与が実施された理由」について検討していく必要がある。
・それは、おそらく、調査委員会が推測したり、ヒアリング等によって確認されるたくさんの理由が挙がるものと考えられるが、さらにその理由が何故、そのような思いに至っているのかということも含めて記載する。
・4番目が、「過量投与が長年に亘って継続された理由」について、システムの問題なのか、コミュニケーションの問題なのか、既にいくつかの指摘がされているが、これも調査委員会なりに洗い出して、記載していく必要がある。
・5番目で、公表後に病院が行った対応についての評価をしても良いのではないか。
・6番目が「被害者家族の心情」で、今、どのように家族が思っているのか、記載があったほうが良い。
・ヒアリングなのかアンケートなのか、方法は考えたいと思うが、調査委員会なりに調べた結果から、被害者の家族がどのように考えているかを盛り込んではどうか。

⑤ 評価
・調査委員会の調査結果に対して評価をする必要がある。
・過量投与による人体への影響の評価などについて、可能な範囲で調査委員会としての評価をする。
・それから、当時の「市立甲府病院のRI検査室の業務状況の評価」、「過量投与が実施されたことへの評価」、「過量投与が継続されたことへの評価」、「公表後の病院の対応への評価」、これらについては、調査を進める中で、全貌が明らかになったら項目の組み換えもあるかもしれないが、これらについて是々非々の評価をしていく。

⑥ 調査委員会の見解
・調査委員会として、これらの評価から一連の出来事を総括する。

⑦ 提言
・再発防止に向けた提言ということになるが、これは、この事例の再発防止だけに関わらず、調査の過程で明らかになる様々な問題点について、改善を提言する。
・それは病院だけに向けられるものではなくて、学会、行政、社会にということになるかもしれない。

⑧ 調査委員会名簿
・最後に調査委員の名簿ということになる。

以上の調査報告その構成の原案について、委員からは、次の意見があった。
・ 被害者家族の心情については、調査委員会が今後ヒアリングをする中で受け止めていく。
・ 被害にあった患者さんがどのような思いかということを伝えていくことが必要である事から、2~3問のアンケートを行うことが良い。
・ 評価の部分では、放射線医学の基本にも触れなければならないので、わかりやすく解説するために、用語集をつける必要がある。
・ 提言については、行政、学会、社会のみならず、今後、核医学検査を受ける患者に向けてという形でもまとめたい。
・平成18年の医療法改正に対する病院の対応や、法整備についても記載する必要がある。
・ 事実認定の中には、学会等の当時の基準についても検証する必要がある。

(2)放射線防護と医療放射線に関する基本事項についての説明
大野委員より、放射線防護と医療放射線に関する基本事項について、次の項目の説明があった。

① 放射線防護に関する国際的機関
② 放射線防護の視点からの被ばく分類
③ 実効線量の使用目的
④ 実効線量の定義と計算方法
⑤ 被ばく者のがん羅患率と線量の関係
⑥ 患者の医療被ばくの最適化
⑦ 患者の医療被ばく線量と実効線量
⑧ ICRP(国際放射線防護委員会)の勧告の主な主張

以上の説明について、委員からは、次の質疑応答、意見があった。
・ 既に行われている実効線量の測定方法の質問について、大野委員から30年以上前から提唱されているミルドファントムを使っているが、2009年に提唱されたより人の形に近いボクセルファントムを用いて計算し直してリスクを算定したいという説明があった。
・ 放射性医薬品が血管を通過する時の影響の質問について、大野委員から腹部大動脈から直結している組織なので、比較的短時間で腎臓に向かって、腎血流にのって入るので腎臓以外の影響は考えなくても良いという説明があった。
・ICRPの勧告を、日本では法律に取り入れるため、国内スタンダードになることの確認があった。

(3)時系列に整理した表の分析・検証
事務局より、平成11年度の新病院開院から平成23年度の事件公表までの約12年間を時系列に整理した表に記載してある内容について次のとおり説明があった。

・ RI検査における検査日、検査項目、推定投与量、また、関与した医師、技師のヒアリングの内容等
・ RI検査放射性医薬品推定投与量等の回数に①、②の記載があるものは、患者で複数回検査を受けている患者について、その回数
・ 検査日、検査時点での年齢、検査項目、画像からカウント数が判明するもののカウント数
・ おおよその投与量については、カウント数から当院が計算した結果を日本核医学技術学会に確認してもらった投与量の推定値(MBq)
・ 実効線量は、各臓器毎の等価線量にウェイティングファクターを乗じて合算した数値
・ 投与量倍率簡易式についは、小児の場合は、0歳から5歳が成人の推奨投与量の1/4、5歳から10歳が1/2、10歳から15歳が3/4という基準があるので、その基準で比べた場合の倍率
・ 検査指示医、放射性医薬品使用簿に記載してある担当技師名
・ DMSA検査についてのみ、おおよその投与量が200MBqまでが黄色、200MBq以上500MBqまでが青、500Mbq以上1,000MBqが緑、1,000MBq以上がピンクで色分け
・ 医師と技師の個人名の色の着いている部分が、その担当している時期
・ 色のついた部分に事件の公表後に行ったヒアリングの内容を要約して記載
・ 備考欄は、その時期に病院で起こったことや、平成18年の医療法の改正などのトピックス

その後、調査委員会において時系列に整理した表について分析・検証を行い、ヒアリングの対象者等について検討した。
職員に対するヒアリングについては、関与した医師、技師等について、10数人のヒアリングを次回の委員会で実施していくこととなった。

委員からは、次のような意見・質疑応答・指摘があった。
・ 関与した医師の医師免許取得年月日と市立甲府病院に着任した時の経験年数、専門医の資格取得年月日を確認する。
・ 中央放射線室の位置付けに関する質問について、事務局から平成22年4月1日以前は、診療支援部の下部組織に位置付けられており診療支援部長の管轄下にあったが、平成22年4月1日に組織改正により放射線部が設置され放射線部長の管轄下になったとの説明があった。
・ 診療放射線技師について、どのような研修・講習会に参加して教育を受けているか確認する。
・ 放射線部の各種マニュアルについて、作成当時のマニュアルと改定の記録を確認する。
・ 安全管理部門も報告文化の乏しいチームがあれば、指導したり、定期的に、それぞれの部門の件数の表を出して、注意喚起というか、報告を活性化させるための働きかけをしなければならないはずだが、放射線部門に対して、そのようなことが定期的に行われていたのかどうかということも、気になるところだ。
・ 保険請求に推奨投与量を記載していたことについては、実際に使用した量と違う量を保険請求していたことは、問題があるのではないか。

(4)患者及び家族に対するヒアリングについて
調査委員会の協議により、患者及び家族に対するヒアリングについては、全体の患者家族に対して「検査の時の状況」、「調査委員会に伝えたいこと」、「ヒアリングに応じる意思」等を内容とするアンケート調査を行い、その回答を確認する中で、ヒアリング方法、対象者について検討していくこととなった。

4  閉会

以上