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膵がん・胆道がん

膵がんとは、膵臓でつくられる膵液を運ぶ道(膵管)から発生するがん(膵管がん)であり、胆道がんとは、肝臓でつくられる胆汁を十二指腸まで運ぶ道(管)にできるがんです。

 

膵がん:Pancreas cancer

膵がんは死亡原因第5位で、半数以上の方が遠隔転移を伴った状態で発見され、5年生存率が全体で10%程度と大変予後の悪いがんです。危険因子として家族歴や飲酒・喫煙歴に加えて膵嚢胞や糖尿病(特に新規の発病や急激な悪化)があげられます。

 

診断

腹部超音波:簡便で体に負担がありませんが、体格や部位によっては見つけにくい事もあります。
CT/MRI:病変の発見のみならず広がり具合(病期:stage)の確認にも有用です。
超音波内視鏡:病変の詳細な観察に加えて、病変部分の組織を採取することで診断を確定させることができます(EUS-FNA:図1)
ERCP(内視鏡的膵胆管造影検査):膵液や胆汁を採取する事での診断に加えて、膵がんによる胆管閉塞(閉塞性黄疸)を治療する事ができます。

 

治療

病変が局所に留まりかつ主要な血管に及んでいない場合には切除が選択されます。
主要血管に病変が及ぶ場合や遠隔転移を伴う場合には化学療法(抗がん剤)や放射線治療を組み合わせた治療が選択されます。腫瘍による閉塞性黄疸に対しては前述のERCP下での胆管ステント(図2)や、経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)による治療を行います。
最近では膵癌による十二指腸閉塞に対するステント留置も増加傾向です。(図2)


図1 : EUS-FNA


図2 : 胆管ステント(1)と十二指腸ステント(2)

 

胆道がん:Biliary cancer

日本人のがん死亡数の第6位で、発生する部位によって胆管がん・胆のうがん・乳頭部がんに大別されます。
原因はよくわかっていませんが、胆石症、胆管炎、先天性膵胆管合流異常症などの胆道疾患や、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患は、胆道がんのリスクになるといわれています。 最近ではオフセット校正印刷でのインクの洗浄剤と胆道がん発生の関連性が指摘されています。

 

診断

腹部超音波:胆のうがんの診断には特に有用です。(図3)
CT/MRI:胆管に沿った病変の広がりや、リンパ節・遠隔転移の有無の確認に有用です。
ERCP(内視鏡的膵胆管造影検査):胆汁を採取する事での診断に加えて、胆管閉塞(閉塞性黄疸)を治療する事ができます。管腔内超音波(IDUS)を同時に行うとより詳細に病変の進展度を評価する事ができます。

 

治療

上記のような検査を行った上で、病期を正確に診断し治療法を決定します。
胆道がんを根治できる唯一の治療法は外科手術です。可能なかぎり外科手術を行います。手術が出来ない場合は、化学療法など内科的治療を行います。腫瘍による閉塞性黄疸に対しては膵がんと同様、前述のERCP下での胆管ステント(図2)や、経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)による治療を行います。


図3 : 胆のうがん