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肝臓がん

原発性肝臓がんは大きく肝細胞がんと胆管細胞がんに分類されますが、わが国の肝臓がんのほとんどは肝細胞がんです。
肝細胞がんはウイルス性肝炎を背景に出現することが多く、B型肝炎・C型肝炎ウイルスに感染している方は発癌の危険性があります。しかし近年ではウイルスに感染していない方からの発癌も増えており、特に脂肪肝や糖尿病をわずらっている方からの肝臓がんが全国的に増えています。

 

診断

肝細胞癌も他の臓器のがんと同様で、いかに早期発見するかが大事になってきます。肝細胞がんの診断は大きく2つの方法で行います。
1つは血液検査で腫瘍マーカーとよばれる検査を定期的に行うこと、もう1つは画像診断と呼ばれる検査を行うことです。腫瘍マーカーには2種類あり、アルファフェトプロテイン(AFP)とPIVKAIIがあります。どちらも正常な肝細胞ががんになった時に造られる蛋白で、血液検査で上昇すれば肝細胞がんが疑われます。アルファフェトプロテインは肝炎の強い時にも上昇することがあり、肝細胞がんに特有とされるAFP-L3分画を測定すると鑑別に有効です。PIVKAIIはビタミンKの欠乏や血液凝固を阻害するワーファリンを服用している場合にも増加します。しかし、いずれの腫瘍マーカーの上がらない肝臓がんも全体の3割近くいるといわれており、腫瘍マーカーが正常だからと言って絶対にがんがないとは言えません。
もう1つの画像診断検査には、超音波検査、CT検査、MRI検査があります。これらの検査はお互いに利点があり、組み合わせて行っています。超音波検査は最も簡単に行え、患者さんへの負担も少ない検査です。軽い慢性肝炎の患者さんでは6ヶ月に1度程度、進んだ慢性肝炎や肝硬変では3~4ヶ月に1度行っています。CTやMRI検査は、超音波検査で異常が認められる場合や進んだ慢性肝炎や肝硬変では、年に1~2回行っています。

 

治療

肝細胞癌の治療は、外科的切除と非外科的療法があります。
現在非外科的療法には、超音波ガイド下に経皮的に穿刺し焼灼する方法(ラジオ波焼灼療法:RFA、経皮的エタノール注入療法:PEIT)と、カテーテルを用いて癌に栄養を送る動脈を選択的に塞栓したり抗癌剤を注入したりする方法(経カテーテル的動脈塞栓術:TAE、抗癌剤動注療法:TAI)などがあります。
当院の肝細胞癌治療は、厚生労働省研究班による「科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン(2013年版)」、および日本肝臓学会の作成した「肝癌診療マニュアル(第二版)」の治療アルゴリズムに則しております。適宜外科とも話し合い(週一回合同カンファレンスあり)、肝細胞癌の腫瘍因子(大きさ、個数、血管浸潤の有無、位置、悪性度)、背景肝(癌に侵されていない部分)の予備能や全身状態に加えて、安全で効果的な治療ができるかどうかを含めて患者様一人一人、そして癌結節ひとつひとつについて検討し、治療方針を決定しています。
前述の標準的な非外科的療法は、いずれも消化器内科で行うことが可能ですし、これらの治療が不効である場合や遠隔転移のある患者さん、血管侵襲の強い患者さんにおいては、肝予備能がよければ、肝動脈持続動注療法、または分子標的薬(Sorafenib)の使用も可能であります。また治療方法や成績の検討も適時行い、学会などに報告しています。
ただ、先にも述べました通り肝臓がんの原因は大部分が肝炎ウイルスであり、硬くなってしまった肝臓から発生することがほとんどです。 肝臓がんの治療は、その原因である肝炎ウイルスまで根絶するものではなく、硬くなってしまった肝臓を戻すことはできません。ですから、2度目の肝臓がんが発生することも少なからずあります。 肝臓がんの治療は根気よく、治療を受けた後も定期的な検査を受けることが必要になります。