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骨密度を知ることは、将来の骨折リスクを知ること。まずは今の自分の骨の強さを見える化しましょう。
このぺージは、
○骨密度検査の結果の見方
・■検査結果は3つの指標で分かります
・骨粗しょう症予防のための運動―― 骨は「刺激」で強くなる ――
・歩行が不安定な方へ:安全に始められる骨折予防の運動
・骨密度測定の方法:DEXA(デキサ)法について
○骨密度検査 〜あなたの骨は今どれくらい?〜
🦴骨密度検査の結果の見方
未来の骨折リスクを「見える化」しましょう
骨密度とは、骨にどれだけカルシウムなどのミネラルが含まれているかを示す数値です。
骨が丈夫かどうかを客観的に知ることができ、骨粗しょう症の診断にも使われます。
骨は日々「壊す(吸収)」と「作る(形成)」を繰り返し、約10年で生まれ変わります。
しかし加齢や女性の閉経をきっかけに、骨密度は低下しやすくなります。
当院ではDXA(デキサ)法という少量のX線を使用した検査で、
腰の骨(腰椎)や股関節の骨(大腿骨)を測定します。
痛みはなく短時間で終わりますのでご安心ください。
■検査結果は3つの指標で分かります
①YAM(若年成人平均値)
■TAM値とは?
若い成人(20〜44歳)平均骨密度を100%としたとき→ 今の自分の骨密度が何%かを示す数値です。
数字が小さいほど、骨が弱くなっている状態です。
やさしく言うと…「若いときの骨の強さを100点満点として、今は何点くらい?」
例:80% → 「若い頃の80%の強さです」
■なぜYAM値を見るの?
骨は年齢で徐々に減りますが、その速度が速いのか、標準的なのかが分かるからです。
例:
・65歳でYAM 85% → 年相応、正常
・65歳でYAM 68% → 減り方が速く、治療検討
「自分の状態に気づける」数字です。
「YAM値は、若いときと比べて今の骨の強さが何%あるか。
70%を下回ると折れやすくなるため治療を考える目安です」
■よくある誤解
| 誤解 | 正しい説明 |
|---|---|
| YAMが低い=すぐ折れる | リスクは上がるが、対策で十分改善できる |
| 一度下がると戻らない | 治療で5〜10%改善も可能 |
| 数字だけで治療が決まる | 年齢・骨折歴・転倒リスクも大切 |
②Tスコア(国際基準)
■Tスコアとは?
若い健康な人の骨密度の平均値を基準(0)として、そこからどれくらい差があるかを示す数値(標準偏差で表す)です。
Tスコアが低いほど骨密度が低下しています。
👉 やさしく言うと…「若いときの骨の強さから、どれだけ離れているか」
■Tスコアで分かること
・骨折リスクの予測に直結
・治療の必要性を判断しやすい世界的基準
例)
Tスコア −2.5 → 骨折リスク 約2〜3倍
Tスコア −3.0 → 骨折リスク 約4〜5倍
「治療するべきタイミング」が数字で分かる指標です。
YAMからの離れ具合を標準偏差(SD)で示します。
| Tスコア | 判定(状態) | コメント | YAM値では? |
|---|---|---|---|
| −1.0以上 | 正常(安心ゾーン) | 骨はしっかり。維持を目指す! | 80%以上 |
| −1.0〜−2.5未満 | 骨量減少(注意ゾーン) | 将来骨折しやすくなる可能性 | 70〜80%未満 |
| −2.5以下 | 骨粗しょう症 | 治療で骨折予防が必要な状態 | 70%未満 |
🔎 ポイント
Tスコア −2.5 がひとつの分岐点:骨粗しょう症
数字は マイナス が大きいほど骨密度が低い
📌目安(*YAMとTスコアの概ねの目安です)
・YAM 80% ≒ Tスコア −1.0
・YAM 70% ≒ Tスコア −2.5
■YAM値との違い(ひと目で)
| 項目 | Tスコア | YAM値 |
|---|---|---|
| 表すもの | 若い人の平均からの差 | 若い人の平均を100%とした割合 |
| 数値の方向 | 理想は0に近い | 理想は100%に近い |
| わかりやすさ | 医療者向け | 患者さんにも直感的に理解しやすい |
| 主な用途 | 診断・治療を決める基準 | 状態把握と生活指導の説明 |
👉 同じ結果から計算されるので、意味は同じですが、伝わりやすさが違います。
「Tスコアは、若いときと比べて骨がどれだけ弱くなっているかを表す数値。
−2.5より低いと骨粗しょう症として治療を考える目安です。」
③色分け表示(直感的に理解)
検査結果票では、次の色で状態を確認できます。
| 色 | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 🟢 緑 | 正常 | 維持に努めましょう |
| 🟡 黄 | 骨量減少 | 生活改善と注意が必要です |
| 🔴 赤 | 骨粗しょう症 | 治療による骨折予防が大切です |
数字や色の意味が分かると、骨折を防ぐための対策に役立ちます。
ぜひ定期的に骨密度をチェックして、ご自身の骨の健康状態を確認しましょう
「骨量測定結果の見方」や、骨量を維持するための生活習慣について、わかりやすく解説した『骨美人生活』(企画:公益財団法人 骨粗鬆症財団)をご用意しています。骨量測定の見方と、栄養・運動・日光浴のポイントを解説したフライヤーはこちら![]()
※骨密度の「正常値」と「目標値」は目的によって異なります。
フライヤーでは、骨折予防の観点から90%以上を目標としてご紹介しています。
🏃♀️骨粗しょう症予防のための運動―― 骨は「刺激」で強くなる ――
骨粗しょう症は、転倒や衝撃で骨折しやすくなる病気です。
特に腰椎や大腿骨の骨折は、寝たきりの原因にもなります。
骨を強く保つためには
①カルシウム(+1〜2%)をしっかり摂る
②日光を浴びてビタミンD(吸収率UP)をつくる
③骨に刺激を与える運動(+2〜3%)を行う
この3つが大切です。
🔸なぜ運動が大事?
骨には、体重や筋肉の引っ張る力などの
「物理的な刺激」が加わると強くなる性質があります。
例えば
地面を蹴る運動(ウォーキング・ジョギング など)
重りを使った筋力トレーニング→ 重力や筋力が骨に刺激を与える
水泳や自転車は全身の運動として良いですが、骨に対する刺激は弱めです。
🔹おすすめの運動
| 種類 | 効果 | 例 |
|---|---|---|
| 重力を利用した運動 | 下半身の骨を強化 | ウォーキング、踏み台昇降 |
| 筋力トレーニング | 上半身も強化 | ダンベル、スクワット、マシン |
📝ポイント
・1日15〜30分の歩行から始めましょう
・姿勢良く、かかとから着地
・軽い重りを持つと効果アップ
⚠️運動の注意点
・骨折歴・腰痛・関節痛がある方は受診(整形外科に相談の)上で実施を
・無理せず、週に数回でも継続が一番
・定期的な骨密度測定で効果を確認
💬メッセージ
今日の一歩が、10年後のあなたの骨を守ります。
🦴 歩行が不安定な方へ:安全に始められる骨折予防の運動
転倒は骨折の大きな原因の一つです。
特に歩行が不安定な方は、まず “安全に体を支える力をつけること” が何より大切です。
骨を強くする運動と同時に、転びにくい体づくり を行いましょう。
◎ まず大切なのは「立つ・支える」力
歩く前に、以下のような 基本的な支えの力(バランス力) を整える運動がおすすめです。
■ ① 椅子を使った立ち上がり練習(スクワットの代わり)
目的:下半身の筋力アップ(太もも・お尻)
1.手すりやテーブル、椅子の背を軽く持つ
2.ゆっくり椅子から立ち上がり(5秒)、ゆっくり座る(5秒)
◎5〜10回を目安に無理のない範囲で
👉 毎日の生活動作そのものが筋力トレーニングになります。
■ ② つかまり立ちでのかかと上げ・つま先上げ
目的:ふくらはぎ・すねの筋力強化 → つまずき防止
・かかとを上げてつま先立ち
・次につま先を上げる
◎安全のため必ず手すりやキッチン台につかまって行う
各10回ほどを目安に。
■ ③ 片足立ち(支えを持ってOK)
目的:バランス能力の改善
・テーブルや手すりに片手を添え、片足を少し上げる
・左右10〜20秒ずつ
◎必ず “安全第一” で行ってください
研究では片足立ちの練習は転倒予防に効果があるとされています。
■ ④ 座ったままできる体幹トレーニング
目的:姿勢保持力を高め、転倒を防ぐ
・椅子に浅めに座って背すじを伸ばす
・お腹に軽く力を入れた状態で10秒キープ
◎無理のない範囲で繰り返す
👉 歩行が不安定な方でも安全にできる体幹強化です。
■ ⑤ 手押し車のように“押す”運動
目的:歩行に必要な下肢・体幹の同時トレーニング
・ショッピングカート、シルバーカー、歩行器など
・室内でも、椅子を滑らせるように押す運動も可
歩行に近い動きを安全に行える方法です。
🛑 必ず守ってほしい安全ポイント
・無理に歩数を増やさない(転倒が最大のリスク)
・急に長距離歩かない
・体調が悪い日は休む
・家の中の段差・滑りやすい場所を確認
・必要な場合は 杖・手すり・歩行補助具 を積極的に使用する
🦴 歩行が不安定でも運動は可能です
骨粗しょう症の予防には運動が有効ですが、
歩行が不安定な方にとって最優先は 転倒しないこと です。
そのうえで、
「つかまる・支える・座ったままでもできる」運動を続けることで、
転びにくい体づくりが可能になります。
骨密度測定の方法:DEXA(デキサ)法について
骨密度測定の標準的な方法であり、現在もっとも信頼性の高い検査です。
DEXA法では、骨だけでなく
全身の骨ミネラル量や **体組成(筋肉量・脂肪量)**も確認できます。
骨粗しょう症の診断・治療効果の判定・骨折リスク予測に広く活用されています。
■ 検査のしくみ
強さの異なる2種類のX線(レントゲン)を照射し、
骨を通過する線量の差から骨密度を計測します。
■ 測定対象の部位
・腰椎(背骨)
・大腿骨頸部(足のつけ根)
・橈骨遠位部(前腕)
・全身
特に**骨折リスクが高い「腰椎」「大腿骨頸部」**が基本となります。
■ メリット
高い精度で誤差が少ない
測定時間が短い(数分程度)
X線の被ばく量が非常に少ない
痛みもなく、安心して受けられる検査です。
🦴 骨密度検査 〜あなたの骨は今どれくらい?〜
骨は年齢とともに少しずつ弱くなります。
特に女性は閉経を境に急激に減りやすく、
放っておくと「ある日突然の骨折」につながることも。
骨密度検査は、骨折のリスクを早めに見つけ、予防につなげるための大切な検査です。
ご参考に、「40歳からはじめる『骨粗しょう症検診』(制作:公益財団法人骨粗鬆症財団)」フライヤーはこちら
からご覧いただけます。*骨の健康を守るために大切なことを、短くわかりやすくまとめられています。
※骨密度の「正常値」と「目標値」は目的によって異なります。
フライヤーでは、骨折予防の観点から90%以上を目標としてご紹介しています。
■この検査で分かること
・骨が 若い頃と比べてどれくらい残っているか
・骨折しやすい状態かどうか
・治療が必要かの判断
・将来のリスクが予測できる
結果は
🟦YAM値(若い人との比較)
🟥Tスコア(診断の基準)
でお伝えします。
■結果の見方(とても大切です)
| 判定 | YAM値の目安 | Tスコア | コメント |
|---|---|---|---|
| 正常 | 80%以上 | −1.0以上 | 今の状態を維持しましょう! |
| 骨量減少(注意) | 70〜80%未満 | −1.0〜−2.5 | 将来骨折しやすい → 生活改善が効果的! |
| 骨粗しょう症 | 70%未満 | −2.5以下 | 治療で骨折リスクをしっかり減らせます |
■検査の特徴(ご安心ください)
・痛みなし・短時間(5〜10分)
・被ばくは ごく少量
・服を着たまま検査できる場合も
・妊娠中はご相談ください
測定部位は
**腰(腰椎)**と 太ももの付け根(大腿骨)→ 生活に影響しやすい骨折の予防に直結します。
◆参考)部位ごとの違いで予防が変わる
・腰(腰椎):女性に多い/若い頃の生活習慣が影響
・太ももの付け根(大腿骨近位):転倒で折れやすく、要介護につながりやすい
■検査をおすすめしたい方
・50歳以上(特に女性)
・過去に骨折したことがある
・ステロイド薬を長く使っている
・やせ型(BMIが低い)
・喫煙・飲酒が多い
・親が骨粗しょう症や大腿骨骨折をした
1つでも当てはまる方は、ぜひ検査を。
■検査後に分かる未来が大切です 検査はゴールではなく スタートです。
・運動:骨密度 +2〜3%
・食事改善:骨の材料を増やす
・日光:ビタミンD → 吸収力UP
・薬物治療:骨折リスク、半分以下に
📌対策を始めるほど、未来が変わります。
◆参考)年齢に応じた対策の違い
・50代:守るべき骨を減らさない
・60代:骨折を予防しながら生活改善
・70代:転倒予防と筋力維持が最重要
■当院からのメッセージ
「骨折しない未来」を一緒につくりましょう。
痛みのない骨折(いつの間にか骨折)は
気づかないうちに日常生活を奪います。
今、検査することで これからの毎日を守ることができます。

